妊娠

妊娠届、出生届、出生証明書


妊娠届は、母体やこれから生まれてくる赤ちゃんの健康を保護し、赤ちゃんが無事生まれてこられるようにするものです。届け出によって、健康診断、保健指導、母親学級の連絡を受けることができるようになり、さまざまな保健サービスが受けられるようになります。
東京都の場合は、届出をすると、母子健康手帳がもらえ、検診の際に検査料が公費負担で受けられる券をもらうことができます。
手続きの方法
妊娠が確定したら、住所のある市区町村役場あるいは、地区によっては保健所、に届け出ます。手続きは、各自治体によって異なります。一般的には、本人の氏名、住所、職業、世帯主名などの記入と、そのほか、すでに医師の診察を受けている場合は、病院の名前、所在地、医師や助産婦の氏名、妊娠周数、出産予定日を記入します。これらの必要事項を記入し、印鑑を押して提出します。

出生届と出生証明書
出生届は、戸籍法に定められており、出産から14日以内に提出することになっています。指定期間をすぎたものは、簡易裁判所判事宛に「戸籍届出期間経過通知書」を提出しなければなりません。届けには、理由を書きますが、天災などの不可抗力の原因だけが正当な理由としてみとめられるだけで、それ以外は3万円以下の過料が科せられます。要注意です!出生届には、医師や助産師など出産に立ち会った人による出生証明書が必要です。証明書は、出産した病院にも用紙があります。医師などに記入してもらいます。

公共のサービス


妊娠届けを提出すると、母体や生まれてくる赤ちゃんを保護するための健康診断や、保健指導、母親学級の通知など、さまざまなサービスの紹介や連絡を受けることができます。公共機関が妊産婦や乳幼児の健康を保護するために行う保健指導や健康診断は、ほとんどが無料、もしくは補助が出ます。

●妊婦検診
妊娠前期と後期に各1回ずつ、保健所で行われます。
無料です。
検査内容:身長、体重測定。尿検査。血液検査、など。
*異常が認められた場合には、役所の委託した医療機関での精密検査を無料で受けることができます。

●保健指導
出産、妊娠などに関するあらゆる疑問を受け付けてくれます。不安や疑問はひとりで抱え込まず、相談しましょう。
母親学級での集団指導と個人指導、個人に対する保健相談など。

●乳幼児健診〜3歳児検診
・生後3〜6ヶ月と、9〜11ヶ月、の2回の乳児検診。
・1歳6ヶ月の一般健康診断。
・3歳児検診。
*実施の場所や日時は連絡がきます。役所や保健所に問い合わせをすることもできます。

●定期予防接種
保健所から日程などの連絡がきます。定期接種は、1994年の改正で「接種を受けるよう努めなければならない」とされ、義務でありません。本人または保護者が納得したうえで受けます。
現在、予防接種法で定期接種の対象となっているのは、1.ジフテリア、2.百日咳、3.ポリオ(急性灰白髄炎)、4.麻疹、5.風疹、6.日本脳炎、7.破傷風 の7つです。BCGは、結核予防法の規定から定期接種と同様の扱いとなります。これらは所定の期間内に受けることが望まれます。

妊娠1〜2ヶ月


妊娠期間は、最終月経の第1日目から数えて280日間とされます。「分娩予定日」は、最終月経初日に280日をプラスした日となり、これを週数にするとちょうど40週となります。月数は、数えなので妊娠第1週から第3週までが1ヶ月目となり、それ以後は、1ヶ月4週間として換算されます。
このように、あくまでこうした計算は、月経周期が28日型で規則的な女性を想定した場合です。月経が不規則な人などの場合は、分娩予定日が大幅にずれる恐れがあるため見直しが必要となります。

妊娠中の10ヶ月は、1.妊娠初期(2〜4ヶ月)、2.妊娠中期(5〜7ヶ月)、3.妊娠末期(8〜10ヶ月)に分かれます。

◆妊娠 1ヶ月(妊娠週数:満0〜3週間)
母体の変化
・めだった変化はありません。しかし身体が熱っぽい、だるい、などのいつもとは異なる感覚があります。この時期はまだ、妊娠に気づいていないことが多いでしょう。

胎児の成長
・受精卵は6〜7日目頃に、子宮内膜に着床します。
・11〜12日ごろに胎盤のもとができます。
・妊娠2〜3週間ほどから、四肢、目、心臓・血管系、脳・神経系の器官形成が始まります。

◆妊娠 2ヶ月(妊娠週数:満4〜7週間)
母体の変化
・子宮は、妊娠していないときは鶏卵くらいの大きさです。この妊娠2ヶ月ごろには、それよりも一回り大きく、ガチョウの卵程度の大きさになります。妊娠の兆しや、早い人でつわりの症状が見られます。
*妊娠の兆し
・月経が止まる。
・基礎体温の高温期が続く。
・乳房の様子が変化する。
・つわりが始まる。

胎児の成長
・身長は約2.7センチメートル、体重は約4グラムです。
・まだ胎芽の状態ではありますが、頭と胴、手足の区別ができてきて、人間らしくなります。
・生殖器の形成が始まります。

妊娠3〜4ヶ月


妊娠中の10ヶ月は、1.妊娠初期(2〜4ヶ月)、2.妊娠中期(5〜7ヶ月)、3.妊娠末期(8〜10ヶ月)に分かれます。妊娠3〜4ヶ月における母体や胎児の変化は以下のようです。

◆妊娠 3ヶ月(妊娠週数:満8〜11週間)
母体の変化
・子宮は握りこぶし大になります。まだ外見からは、おなかがふくらんでいるとわかるほどではありません。しかし母体のおなかのなかでは、子宮が大きくなるにしたがって、子宮の前にある膀胱や直腸が圧迫されます。そのため尿の回数がそれまでよりも多くなったり、腰痛や下腹痛(左右)がみられることがあります。

胎児の成長
・身長は7.5〜9センチメートル、体重は約20グラムになります。
・それまでお尻のところに見られていた「尾」のようなものが消え、手足がはっきりと成長してきます。ますます人間らしい形になります。また、内臓的にも、腎臓が形成されて尿を出します。
・男女の区別がつくようになります。

◆妊娠 4ヶ月(妊娠週数:満12〜15週間)
母体の変化
・子宮は、出産時の赤ちゃんの頭程度の大きさになります。
・外見的にはまだおなかのふくらみは目立ちませんが、骨盤のなかから子宮がせり出してくるため、おなかに手をあてるとはっきりとふくらんでいるのがわかるでしょう。

胎児の成長
・身長は約18センチメートル。体重は約120グラムです。
・内臓はほぼ完成し、心臓の働きも活発です。超音波検査(ドプラー法)によって、胎児の心臓の音を外から聞くこともできます。

妊娠中の食事


妊産婦の食事のポイントは、バランスよく栄養を摂取することです。おなかのなかの赤ちゃんは、お母さんの身体から栄養をもらっています。胎児は母体からさまざまな栄養素を吸収しますから、妊娠中の女性は赤ちゃんの分まで栄養をとらなくてはなりません。もちろん、栄養が足りないのはいけませんが、栄養過多の障害が近年では問題になりつつあります。エネルギーばかり多い必要はまったくありません。たんぱく質や鉄分、カルシウムなど、必要な栄養素を十分に過不足なく摂取することを心がけます。

妊娠中の妊婦の食事のポイントをあげます。
1.バランスの良い食事
妊娠の前期は、つわりがひどくなりがちですから、食事はとりたくてもとれないことが多いです。胎児の発育もそれほど活発ではありませんから、さほど気に病むことなく、ゆったりと気持ちを楽にしてこの時期を乗り切りましょう。
むしろ大切なのは、後期になってからです。胎児の発達に障害が及ばないよう、過不足なくバランスの良い食事を心がけます。

2.たんぱく質、カルシウムを充分にとる
たんぱく質とカルシウムは胎児の発達と母体の維持の両方に欠かせない栄養素です。乳製品はたんぱく質とカルシウムを同時にとることができる優良食品です。

3.塩分は控える
塩分をとりすぎるとむくみや高血圧を招きます。妊娠中にかぎらず、1日10グラム以下に抑えましょう。

4.アルコールは控えめに
アルコールやカフェインの入った飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶)は、胎児の成長に好ましくありません。たばこは未熟児や障害をもった子どもの誕生、早産の一因になります。

出産・育児一時金と低出生体重の届出


妊娠・出産は病気でありませんから、正常な妊娠・出産に対しては、健康保険は適用されません。ただし、妊産婦が被保険者本人または夫の被扶養者の場合は、出産後に健康保険組合に申請することで出産・育児金の支給を受けることができます。1児につき30万円です。
国民健康保険の場合は、助産費として支給され、各市町村によって支給額に多少差があります。ただし、国に規準30万円にならうところが多いようです。
支給条件は、被保険者が健康保険加入後1年以上を経過していることです。また退職後6ヶ月以内の出産に対しても同時に支給されます。
産前や産後休業中にも出産手当金の支給は、産前は6週間、産後は8週間、で標準支給月額の6割の支給となります。多胎の場合は、産前10週間です。また、分娩予定日よりも分娩が遅れた場合には、遅れた期間の分も支給されます。
なお流産(妊娠12週以降、妊娠4ヶ月)や早産、死産の場合も、支給されます。

未熟児、すなわち低出生体重の届出
出生時の体重が2500グラム未満の場合、低出生体重児と呼ばれ、保健所または役所への届出が必要です。届け出をすると、保健所から指導訪問が受けられます。入院が必要な場合には、保育設備がある指定養育医機関に入院手続きをしてもらえます。
届出は、本人でなくても、家族や医師、助産師でもかまいませんし、電話連絡も可能です。病院などで分娩した場合には、退院後の健康管理を保健所が指導してくれます。自宅分娩の場合は、できるだけ早く届け出ることが大切です。

妊娠前期の食事


妊娠前期、後期を通して心がけることは、妊娠中毒症と貧血を予防することです。
妊娠前期は、胎児の発育も少ないことから、それほどエネルギーを必要としません。また、つわりがひどい方もいらっしゃいますから、さほど食事に神経質にならなくてもいいでしょう。
逆に、食べすぎで太ってしまわないように気をつけます。妊娠中の体重の増加は、多くても12キログラム程度が妥当とされます。1週間に500グラム以上も体重が増加するのは、少し注意が必要かもしれませんね。妊娠に太りすぎると、妊娠中毒症や糖尿病の危険が高まります。分娩時の障害も懸念されます。
もともと太っている方のなかには、妊娠中に体重を増やす必要がない方もいらっしゃいます。肥満傾向のある方は、妊娠前期には、むしろ減食する必要がある場合もあるのです。

したがって、妊娠前期は、1日1950キロカロリーを基本とします(肥満傾向のない人の場合)。必要充分に摂取するよう心がけるのは、たんぱく質とカルシウムです。たんぱく質は、貧血予防も考え、動物性のものをとります。カルシウム補給には、牛乳やヨーグルトなどの乳製品が良いでしょう。牛乳は、そのまま飲むのが苦手な方は、料理に使ってはどうでしょう。クリームシチューやスープに入れると簡単にとれます。

ただし、つわりの時期は、まだ赤ちゃんもさほど成長しませんから、あまり気にせず、食べられるものを少しずつ食べるようにし、気持ちを楽にして充分に心身を休めてください。嘔吐がある方は、ミネラルと水分を補給するために、果汁を召し上がってください。

妊娠後期の食事


妊娠後期は、胎児の発育の盛んになりますし、つわりの時期もすぎて食べやすくなります。胎児の成長分も含めて、1日に2150キロカロリー程度をとるのが妥当とされます。たんぱく質、カルシウム、鉄分を充分にとるように心がけ、妊娠中毒症や貧血を予防します。たんぱく質は、妊娠していないときよりも多く、80グラムを目安にします。

たんぱく質は、鉄分の補給も考え、卵や肉、魚、牛乳など動物性のものをとるといいでしょう。もちろんレバーはすばらしいたんぱく源であり、鉄分の理想的な補給源です。普段は苦手、という方も、是非、食べてみてください。レバーは、血抜きをすると食べ易くなります。少し牛乳につけておくと臭みが消えます。
また、植物性のたんぱく質としては、豆腐、油揚げ、厚揚げ、など、大豆製品がいいでしょう。
カルシウム源には、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品がいいです。その他、小魚やひじき、それに緑黄色野菜もミネラルが豊富です。牛乳は、そのまま飲むのが苦手な方は、お料理に活用してみましょう。ホワイトソースにたっぷりと入れて、グラタンやドリア、ホワイトシチューにしてもいいですね。

肥満気味の方は、糖分や脂肪を取り過ぎないようにします。フライパンをシルバーストーン加工、フッ素樹脂加工のものにすると、料理に油を使いすぎなくてすみます。また、むくみや妊娠中毒症の予防のために、塩分や水分は控えめにします。サラダにドレッシングをかけすぎると、塩分や油脂をとり過ぎてしまいます。酢の物にし、三杯酢でいただいてもおいしいですよ。

妊娠5〜6ヶ月


妊産婦と胎児の状態は、妊娠期間中にめざましく変化していきます。どのような変化が起こるのかをあらかじめ把握しておくことで、不安になるのを防ぐこともできるでしょう。

妊娠中の10ヶ月は、1.妊娠初期(2〜4ヶ月)、2.妊娠中期(5〜7ヶ月)、3.妊娠末期(8〜10ヶ月)に分かれます。
ただし、あくまでこうした計算は、月経周期が28日型で規則的な女性を想定した場合です。月経が不規則な人などの場合は、分娩予定日が大幅にずれる恐れがあるため見直しが必要となります。

妊娠5ヶ月からは、妊娠中期に入ります。
◆妊娠 5ヶ月(妊娠週数:満16〜19週間)
母体の変化
・子宮は、大人の頭ぐらいになります。子宮の上の部分(子宮底)は、おへそ近くまで伸びてきます。
・まだそれほど動作がつらいということはありませんが、体重は増え、外見的にもおなかのふくらみがわかるようになります。
・乳房がいちだんと大きくなります。

胎児の成長
・身長は約25センチメートル、体重は約250〜300グラムです。
・頭は鶏卵よりもやや小さい程度にまで発達します。
・毛髪や爪が生え始め、身体全体が柔らかい毛でおおわれてきます。
・手足の運動が活発になり、羊水のなかを自由に動き回るようになります。

◆妊娠 6ヶ月(妊娠週数:満20〜23週間)
母体の変化
・子宮底の高さがおへその位置にまで達し、下腹部のふくらみが大きくなります。体重も増えます。
・子宮の重さが1.5キログラムにまでなるため、腰痛や背中の痛みが出ることがあります。
・乳頭が敏感になり、しぼると薄いお乳(初乳)がにじみ出ることがあります。

胎児の成長
・身長は約30センチ、体重は約600〜700グラムです。
・身体が急速に成長し、骨格もしっかりしてきます。
・皮膚が厚くなり、胎脂という脂肪が身体の表面にできます。
・眉毛、まつげができ、顔の形がはっきりとできてきます。

妊娠7〜8ヶ月


妊娠中の10ヶ月は、1.妊娠初期(2〜4ヶ月)、2.妊娠中期(5〜7ヶ月)、3.妊娠末期(8〜10ヶ月)に分かれます。

妊娠7ヶ月は妊娠中期、妊娠8ヶ月になるといよいよ妊娠末期です。
◆妊娠 7ヶ月(妊娠週数:満24〜27週間)
母体の変化
・子宮底(子宮の上の部分)の高さは、おへその上2〜4センチメートル程度に達します。
・下腹部だけでなく、おなかの上のほうまでふくらみが目立つようになり、おなか、背中共に痛みが出ることがあります。
・おなかに手を当てると、胎児の頭の位置がわかります。

胎児の成長
・身長は約35センチメートル、体重は約1000〜1200グラムになります。
・全身は、柔らかな産毛でおおわれます。
・皮膚は、暗い赤色をしています。
・皮下脂肪がないので顔はまだしわだらけですが、動きは活発で羊水のなかで盛んに動きます。

◆妊娠 8ヶ月(妊娠週数:満28〜31週間)
母体の変化
・子宮底(子宮の上の部分)の高さは、おへそとみぞおちの中間にまでなります。そのため、大きく成長した子宮が胃や肺を圧迫し、食べ物を一度に大量に食べられなくなります。
・常に何か、食べ物が胸につかえる感じに悩まされます。
・おなかの妊娠線が目立ちます。
・乳首のまわりが黒ずみます。

胎児の成長
・身長は約40センチメートル、体重は約1500〜1800グラムになります。
・全身をおおっていた柔らかな毛(産毛)が少しずつ減り始めます。
・肺、胃腸、腎臓などの働きはまだ未熟ですが、筋肉や神経の発達が著しく、動きがいっそう力強くなります。

妊娠9〜10ヶ月


妊娠中の10ヶ月は、1.妊娠初期(2〜4ヶ月)、2.妊娠中期(5〜7ヶ月)、3.妊娠末期(8〜10ヶ月)に分かれます。
妊娠9ヶ月〜10ヶ月は、いよいよ出産が間近に迫った時期です。

◆妊娠 9ヶ月(妊娠週数:満32〜35週間)
母体の変化
・子宮底(子宮の上の部分)の高さは、妊娠中で最も高くなります。みぞおちのあたりまで達します。そのため胃の圧迫感が強まり、胃のなかに食べ物が詰まった感じがします。食事をするのがつらく感じることもあり、食べる量が減ります。
・肺や心臓も圧迫されるため、動悸や息切れがします。肩で息をするようになります。

胎児の成長
・身長は約45センチメートル、体重は約2000〜2700グラムになります
・身体の機能が成熟し、完成します。その分栄養は、皮下脂肪としてついてくるため、全体的に丸みを帯びてきます。

◆妊娠 10ヶ月(妊娠週数:満36〜39週間)
母体の変化
・子宮底(子宮の上の部分)の高さは、少し下がります。やや前方の傾くように下がるので、下腹部が前に突き出た形になります。下がったことで胃、肺、心臓など、内臓への圧迫感が減り、息苦しさや動悸がかなり解消されます。また、胃がすっきりして食べ物が気持ちよく収まるようになります。
・ただし、膀胱への圧迫は強まることから尿が近くなります。

胎児の成長
・身長は約50センチメートル、体重は約3000グラムになります。
・皮下脂肪が充分につき、丸々とした赤ちゃんらしい身体つきになります。筋肉も発達します。
・爪は指先まで伸びます。
・髪の毛は1〜2センチメートルになります。

妊娠中に受ける必要がある諸検査


妊娠中には、さまざまな定期健診や検査を受ける必要があります。妊産婦が受ける必要がある検査は以下のものです。

☆必ず受ける必要がある検査
●血液型検査
両親のABO式とRh式血液型を確認します。母親と胎児の血液型が不適合かどうかを調べます。

●貧血検査
妊娠中期以降になると、貧血になりやすくなります。妊娠初期だけでなく、後期にも受けるようにします。

●血圧測定
妊娠中毒症など、異常の発見に役立つ重要な手がかりです。定期検診のつど、受ける必要があるでしょう。

●体重測定
検診のつど、測定します。特に妊娠後半期では、妊娠中毒症を発見する重要な手がかりになります。

●尿検査
尿を検査することで、尿に含まれるたんぱく質や糖を確認し、妊娠中毒症、腎合併症、糖尿病合併症妊娠かどうかを確認します。妊娠末期には、尿路感染症の有無を確かめるためにも重要となります。

●風疹抗体検査
妊娠中に風疹にかかると、胎児に先天的な異常をひきおこす恐れがあることから、妊娠の可能性のある女性は、できれば妊娠前に検査しておくとよいでしょう。

●トキソプラズマ抗体検査
妊娠中に感染すると、胎盤を通して胎児も感染します。妊娠初期に初感染すると、胎児が死亡する危険があります。また出産後に知能障害、眼トキソプラズマ症がみられることもあります。

●肝炎ウィルス検査
B型肝炎やC型肝炎ウィルスのキャリアであることを自覚していない妊婦がいますので、検査を受けておきましょう。

●梅毒・エイズ・クラミジア検査
性感染症の検査です。本人が自覚していないこともありますので、血液検査

必要に応じて受けるべき検査


妊娠中にはさまざまな検査を受ける必要があります。妊婦が必ず受けるべき検査と、必要に応じて受けたほうがいい検査があります。

☆必ず受ける必要がある検査
●血液型検査
●貧血検査
●血圧測定
●体重測定
●尿検査
●風疹抗体検査
●トキソプラズマ検査
●肝炎ウィルス
●梅毒・エイズ・クラミジア検査

☆必要に応じて受けるべき検査
●胸部X線検査
●超音波検査
●歯科検診
●骨盤測定
●成人T細胞白血病ウィルス検査
●膣分泌物の顕微鏡検査

特に、ここでは必要に応じて受けるべき検査についてその詳細を説明します。
●胸部X線検査
結核に感染している恐れがある場合に行う検査です。

●超音波検査
妊娠周数は、月経が規則正しい人でないかぎり、はっきりとはわかりにくいものです。超音波検査を行うことである程度推定することができます。また、多胎の可能性や、胎児および子宮内部のようすを詳しく知りたいときにも、必要に応じて行われる検査です。特に、前置胎盤や胞状奇胎の疑いがある場合にも行われます。
妊娠末期になると、分娩に備えて胎児の頭の大きさを測定するのに検査を行うこともあります。

●歯科検診
妊娠28週以降になると、治療が難しくなりますので、なるべく早期に受けるようにします。検査や治療を受けるときは、妊娠していることを必ず伝えてください。

●骨盤測定
必ずしも狭骨盤だからといって難産になるわけではありませんが、狭骨盤かどうかを調べます。腰部を外側から測定するのが一般的ですが、X線写真や超音波診断法を用いることもあります。

●成人T細胞白血病ウィルス検査
感染している可能性がある場合に行います。

●膣分泌物の顕微鏡検査
おりものが非常に多い場合に行います。

妊娠中の家事


妊娠は、病気ではありませんから、妊娠に異常がないならば、出来る限り普通の日常生活を送るよう心がけたいですね。むしろ、栄養の取りすぎや運動不足は肥満を招き、妊娠中毒症や難産の原因となります。日常生活のなかで積極的に身体を動かすことで、妊娠中に健康な生活を維持できますし、分娩も軽くすることができます。

しかし、家事のなかで、中腰での姿勢で洗濯をしたり、しゃがんで草むしりをしたり、雑巾がけや、重いものを持ち上げる、といった、腹部に強い圧迫や緊張を与える姿勢や動作は避けましょう。つま先で立って物を取ったり、長時間のミシンがけもよくありません。自転車での買物や長時間の立ち仕事、歩行、激しい階段の上り下りも控えます。転倒の可能性がある動作は、避けます。冷えすぎたり、暑すぎたりする場所で仕事をしたり、長時間すごすことのないように注意しましょう。
また、妊娠末期になると、腹部が大きくなり、腰痛を起こしやすくなります。これは重心が前に傾いてしまいがちになるためです。壁を背にして立ち、1日に数回、自分で姿勢を矯正するようにすると良いでしょう。休むときには、仰向きかやや横向きにし、下腹部の下や膝下にまくらなどを置くと楽です。

積極的に動くことは大切ですが、無理は禁物ですし、疲れたらすぐに休息をとることが大切です。栄養が労働のほうにいってしまい、胎児への栄養供給が少なくなると、胎児の発育を妨げます。流産、早産の危険も高まりますので、疲れない程度に動くことを心がけるべきです。

妊娠中の飲酒と喫煙


嗜好品、つまりお酒、タバコについては、妊娠中でなくても健康のためにはあまりお勧めできるものではありませんが、妊娠中は特に注意が必要です。

お酒
適量を厳守しましょう。大量の飲酒は、早産や低体重児出産の原因になるといわれます。また、適量という言い方も微妙です。いずれにしても、お酒を飲むことで肝心の食事の量が減り、必要な栄養が不足することが問題です。妊娠中や授乳中の飲酒は、極力!控えたほうが良さそうですね。

タバコ
妊娠中の喫煙と早産の関係についてはさまざま報告があります。妊娠中の喫煙期間が長いほど、また喫煙本数が多いほど、早産の危険が大きくなります。また低体重児との関係も非喫煙者と比較し、妊娠の全期間喫煙していた場合は、倍の発生率に、さらに喫煙本数が多いほど、その危険も高まります。喫煙量が1日10本までの場合は、胎児の体重は約90グラム減少し、20本以上になると533グラムも減少してしまうとさえいわれます。
喫煙が、胎盤や母体の腎臓への血液の流れを悪くすることが低体重児、早産、流産、前期破水、出血を併発する要因となるといわれます。
喫煙量を減らせば、赤ちゃんの身長、体重は増加します。また、せめて妊娠中期以降に禁煙すれば、出生児には非喫煙者のお母さんの赤ちゃんとほとんど差がなくなるともいわれますので、是非、タバコは控えましょう。
タバコの害については、妊婦自身が吸わなくても周囲に喫煙者がいるとその影響は胎児に及びます。赤ちゃんのお父さんはもちろんのこと、いっしょに暮らしているご家族も協力し、タバコを控えるようにしましょう。

妊娠中の薬剤の使用


妊娠中に特に注意しなくてはならないことに薬剤の使用や放射線の照射があります。

器官形成期ともいわれる、妊娠初期(妊娠1ヶ月〜4ヶ月、妊娠0〜15週)は、受精卵から胎芽(たいが)、胎児へと成長するなかで、身体の各部分の基盤が形成され、それぞれの器官に分かれて人間としての形成を整えていく時期です。この時期に薬剤や放射線の影響を受けると、胎児の発育に障害がおよぶ恐れがあります。奇形の発生頻度が最も高いことから、この時期を「臨界期(りんかいき)」と呼びます。一般には、2週〜12週までが、臨界期とされます。

しかし、臨界期以外は安心できるのか、というとそういうわけでは決してありません。妊娠12週になると、胎児の内臓はほとんどが完成し、心臓の働きが活発になります。たとえ胎盤が完成しても、ほとんどの薬剤は容易に胎盤をすり抜け、母体から胎児に移ってしまうのです。胎児の肝臓の働きは未熟ですので、解毒能力も低く、薬剤の影響をストレートに受けてしまいます。

妊娠中には、特に、催眠薬、鎮痛薬、ホルモン薬、抗生物質は避けましょう。どうしても必要な場合は、医師に相談し、指示を求めます。

また定期予防接種については、予防接種施行規則によって、妊娠中に接種が禁止されているものが幾つかあります。
・ポリオ(急性灰白髄炎)
・風疹
・麻疹
これらのような生ワクチンを用いるものは、妊娠全期間を通じて接種を控えます。特に風疹は、接種後、2ヶ月は避妊が必要です。

妊娠中の性生活


妊娠中の性生活は、全面禁止というわけではありません。しかし、性交は、特に妊娠初期(妊娠15週、4ヶ月)がすぎる頃までは、流産の危険を招く要因となりますので、注意が必要です。腹部に圧迫をかけるような姿勢は禁物。刺激を与えすぎない、回数を減らす、さらに清潔を心がけるなどの配慮が必要です。また、次のような異常が見られたらすぐに中止し、またたとえ回復しても、以後最低でも1週間は性交を避けるべきです。

☆次のような症状に注意
●おりものが多い
●出血がある(少量でも危険信号)
●熱がある
●下痢をしている
●破水した
●下腹部に痛みがある

セックスが引き金となって、流産や早産、破水、陣痛が起こるのは、妊娠末期が最も多いといわれています。
●妊娠初期・・・26.3パーセント
●妊娠中期・・・5.3パーセント
●妊娠後期・・・21.1パーセント
●妊娠36週以後・・・47.4パーセント
(柳田洋一郎 周産期医学 参考)

妊娠初期
特に15週(4ヶ月)までは、性交が流産の引き金となりますので、警戒が必要です。回数を減らすこと、子宮を強く刺激したり、腹部の圧迫をしないようにします。

妊娠中・後期
妊娠16〜35週(5〜9ヶ月)は、比較的母体が安定している時期です。初期や末期と比べると安心できるとはいえますが、この時期は子宮が大きくなり、腹部のふくらみもめだって来るころです。胎動も始まりますから、やはりあまり刺激しないようにすることや、腹部への圧迫は避けるべきでしょう。

妊娠末期
特に胎児の頭が下がってきたら、結合を浅くし、回数も極力控えてください。36週をすぎたら、避けたほうが無難でしょう。

腹帯


妊娠5ヶ月頃から、「腹帯(ふくたい)」をつけます。これは、下腹部の保温と、大きくなったおなかを支えて胎児を安定させる役割があります。腹帯は、適切につけられていなかったり、きつくしめすぎると、下半身の血行が悪くなり、むくみの原因になります。

腹帯のつけかた
1.さらし木綿を二つ折りにします。
2.折り山が下にくるようにして左から右へおなかにあてます。
3.巻き始めの耳を出しておいて、ぎゅっと緩まないように一巻きします。
4.二巻き目をするときに、3の出しておいた巻き始めの耳を折り返し、ずれにようにして巻き込みます。
5.三巻き目は、中央で折り返して巻きます。
6.以後、中央や端で布を適宜折り返しながら、巻いていきます。巻き終わりがピンで留めやすいところにくるように調節します。
7.指2本の余裕を持たせて巻き上げ、ピンで留めます。

腹帯は、通気性がよく、洗濯ができるものを選び、常に清潔に保てるようにすることが大切です。

妊娠中の衣服の基本は、1.清潔であること、2.保温性が高いこと、3.軽く動き易いこと、です。新陳代謝が盛んになり、おりものも増えます。汗もかきますから、入浴で身体を清潔に保つと一方で、下着は吸湿性にすぐれて刺激の少ない、綿製品がいいでしょう。はきものは、安定性や腰への負担も考え、ヒールの低い靴にします。3センチメートル程度の高さが適切でしょう。つっかけサンダルや、ヒールの高いものは転倒しやすく、危険です。

つわりと腰痛


妊娠中には身体にさまざまな症状が現れます。一般的に次の症状が見られます。
●つわり
●腰痛
●頻尿
●便秘
●痔
●立ちくらみ
●むくみ(浮腫)
●帯下(たいげ)
●静脈瘤(じょうみゃくりゅう)
●下腿痙攣(かたいけいれん)
その他、貧血や妊娠中毒症なども注意が必要です。

つわり
つわりの症状は、妊娠初期に出ます。つわりの症状があると食べ物を食べるのがつらいものですが、幸い、この時期、胎児はさほど活発に成長しませんので、それほど栄養素が必要ではありません。食べ易いもの、食べられるものを無理せずに食べるようにしましょう。消化の良いものを少しずつ食べるようにします。水分が多いもの、冷たく冷やしたもの、さっぱりしたものが食べ易いようです。果汁などがいいかもしれませんね。
特に食後は、安静にして吐き気がおさまるのを待ちましょう。食べられるときに食べるように、小さなクッキーやチーズを常備しておくといいでしょう。
つわりは精神的要素が大きく左右します。家族も協力し、散歩をしたり、趣味に関心を向けてつらい時期を乗り越えましょう。

腰痛
妊娠末期になると腹部が大きくなり、重心が前に傾きがちになります。そのため姿勢が悪くなり、腰痛を引き起こすことになります。自分で姿勢を正すために、1日に何度も壁を背にして立ち、姿勢を矯正しましょう。意識して背筋を伸ばして正しい姿勢を心がけることが腰痛予防の最善策です。また、妊娠末期には、腹部が大きくなるので、仰向き、またはやや横向きで横になり、下腹部の下の膝下にまくらなどを置くと楽に休めます。
長時間の立ち仕事、すわりっぱなしはよくありません。締め付けすぎないようにやわらかいコルセットをつけると安定します。

頻尿、便秘、痔


妊娠中の身体症状というと、つわりや悪阻(おそ)や腰痛が一般的に知られていますが、そのほかにも、子宮が大きくなって膀胱や大腸を圧迫することから、頻尿や便秘、痔に悩む方がたくさんいます。また、立ちくらみやむくみ(浮腫)、帯下(たいげ)静脈瘤(じょうみゃくりゅう)、下腿痙攣(かたいけいれん)、その他、貧血や妊娠中毒症なども注意が必要です。

頻尿
子宮が大きくなると膀胱を圧迫することから、トイレが近くなります。これは心配するべき症状ではありません。問題は、がまんしすぎて腎盂腎炎(じんうじんえん)になることです。妊娠中は、がまんせずにトイレに行くようにしましょう。

便秘
女性はただでさえ便秘に悩む方が多いのですが、妊娠中は、大きくなった子宮によって大腸が圧迫されるため、どうしても便秘がちになります。
便秘予防に有効な方法は、
1.規則正しい食事習慣を心がける。
2.繊維の多い食品や新鮮な野菜、果物を積極的にとる。
3.早朝に冷たい水や牛乳を飲む。
4.適度な運動をする。
5.おなかを冷やさない。
それでもどうしても・・・という方は、医師の指示によって緩解薬(かんげやく)や浣腸を用います。

痔(じ)
妊娠中の女性は便秘になりやすいものです。そして悪循環ですが、便秘になると痔になる傾向も強まります。便秘にならないように気をつけることがなによりです。消化のよい食事を心がけ、おなかを冷やさないようにしましょう。肛門を清潔に保ち、マッサージすると良いです。

静脈瘤、下腿痙攣、立ちくらみ、貧血


妊娠中には、つわりや悪阻(おそ)、腰痛のほかにも、子宮が大きくなって膀胱や大腸を圧迫することから、頻尿や便秘、痔に悩む方が多く、また、立ちくらみやむくみ(浮腫)、帯下(たいげ)静脈瘤(じょうみゃくりゅう)、下腿痙攣(かたいけいれん)、その他、貧血や妊娠中毒症などもさまざまな症状が出ます。

静脈瘤(じょうみゃくりゅう)
妊娠中の静脈瘤は、子宮が大きくなるために脚部などの静脈が圧迫されることが原因で生じます。予防としては長時間の立ち仕事を避け、休息や就寝の際には、脚の下にクッションを敷くなどして脚を高くして休みます。また、市販の弾力性のあるストッキングや、包帯を巻くことも効果があります。
食事としては、糖質や脂質を制限し、ビタミン類を過不足なく取るようにします。

下腿痙攣(かたいけいれん)
下腿痙攣は、カルシウム不足から生じることが多いです。妊娠中は、胎児の発育のためにカルシウムは非常に重要です。カルシウムを豊富に含む食品として、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、小魚などを積極的にとるようにしましょう。症状が深刻な場合は、医師によってカルシウム薬が投与されることもあります。

立ちくらみ、貧血
立ちくらみは、急に立ち上がった場合に起きやすいです。また長時間立ちっぱなしでいることも良くありません。したがってゆっくりと立ち上がり、長時間立ちつづけないようにします。貧血の疑いがある場合は、血液検査をします。鉄分を多く含む食品を食べるようにしましょう。

浮腫


妊娠中の浮腫(ふしゅ)、いわゆるむくみの症状は、夕方から就寝前にひどくなります。そして朝になるとたいてい解消されています。むくみというのは、体内の水とナトリウム(食塩)が過剰となった状態をさします。

妊娠中のむくみは、特に、足に生じることが多いです。原因は、ビタミンB1やたんぱく質の欠乏、貧血、血行障害、心臓病、妊娠中毒症などが考えられます。妊娠中毒症というのは、妊婦の合併症です。重症になると胎児と母体の両方に生命の危険がおよびますから、非常に警戒が必要です。
いずれにしても、早朝からむくみがひどい場合や、尿の量が減少した場合には注意が必要です。また、妊娠中は体重が増えるのは当然ですが、その増え方があまりにも多すぎる場合、たとえば、1週間に450グラム以上も増加してしまうような場合には、妊娠中毒症の危険がありますので、特に注意し、医師の診断を受けましょう。

対策としては、毎日の生活のなかで、立っている時間を極力少なくします。過労や睡眠不足もむくみを招くことがありますので避けるようにしたほうがいいでしょう。身体を冷やすこともむくみを招く原因となりますので、保温に気をつけます。それでもむくみがちな場合は、就寝時に足を高くすると効果があることがあります。また、症状が軽い場合でも、塩分を摂り過ぎないように気をつけ、水分摂取も過剰にならないようにします。妊娠中毒症を予防するためにも、食事には気をつけ、カロリーをとり過ぎないようにしてミネラルやビタミンの摂取を心がけます。

流産


赤ちゃんが、妊娠22週未満で外に出てしまう(妊娠が終了する)ことを流産といいます。このようにして出てしまった赤ちゃんは、かわいそうですが、育つことができません。流産は、まず出血があり、それに前後するかたちで下腹痛が起こります。最初は軽くお腹が張る程度だったのが、徐々に激しくなります。陣痛のように周期的な痛みを伴います。
ただし、流産は、早期に適切な対応をし、安静を保つことで防ぐことが可能です。安静にして医師の診察を受けます。薬で食い止められることがあるからです。それでもダメな場合は、なるべく早く子宮の内容物を出してしまいます。そうすると痛みが消えます。

流産には幾つかのタイプがあります。
1.完全流産
2.不全流産
3.切迫流産
4.進行流産
5.稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
6.習慣流産

流産の原因はいくつか考えられ、自然流産の場合、直接的には、受精卵の染色体異常に原因があることも考えられます。その他、胎児側、母体側の原因として以下のことが考えられます。

胎児側の原因
●胞状奇胎(ほうじょうきたい)
●胎盤(たいばん)や臍帯(さいたい)の異常

母体側の原因
●急性伝染病
●妊娠中毒症
●心臓病
●肺結核
●腎臓病
●子宮筋腫
●子宮奇形
●頸管無力症(けいかんむりょくしょう)
●黄体ホルモン不足
*そのほか、転倒や圧迫といった外部からの衝撃、強烈な下痢も流産の誘因となります。性生活も引き金となることがあります。

父親側
●精子の異常

悪阻


妊娠悪阻(にんしんおそ)というのは、つわりが重症になったものをいいます。
原因は、ホルモンバランスや、栄養、心理状態などさまざまな要因が絡んで生じますが、はっきりとした原因は不明です。つわりで嘔吐が続き、しっかりとした栄養がとれない場合に、栄養素やミネラル、水分などが不足することから、胃液や胆汁が失われる結果、内臓にさまざまな障害が生じ、重症化します。
悪化すると、人工中絶をせざるを得ない場合もありますが、そこまでいくことはまれで、たいていは改善します。

以下の症状を「つわり」の症状といいます。
●1日に5回以上の嘔吐がある。
●食事量が半分以下になる。
●体重が5キログラム以上減少する。
●気分が悪くて起き上がれない。

これらの症状がひどくなると、「悪阻(おそ)」と呼ばれます。悪阻は段階によって1〜3に分かれます。

1段階・・・脱水症状を起こし、低栄養状態となります。
症状
●空腹時に胃液や胆汁を吐く。
●尿量の減少。
●体重の減少。

病態
●嘔吐がやまず、何度も繰り返す。
●栄養摂取不足。

対応
●厳重な管理のもと、鎮痛薬、心理療法、鎮吐薬、補液療法。対処療法が中心となります。

2段階・・・中毒症状を起こします。
症状
●著しい体重の減少。
●頻脈。
●発熱。
●黄疸。

病態
●肝機能障害
●腎機能障害
●物質代謝障害

対応
●集中管理
●人工妊娠中絶

3段階・・・脳症状を起こします。
症状
●神経症状
●反射低下
●自然流産(母体死亡)

病態
●意識障害

(鈴木正彦 産婦人科治療 参照)

早産


妊娠22週未満で妊娠が終了し、胎児が外へ出てしまうことを流産というのに対し、22週以降、37週未満の分娩を早産といいます。22週未満では赤ちゃんは育つことができず、かわいそうですが、亡くなってしまうのに対し、22週以降では、生まれた赤ちゃんは体重が500〜2500グラムと低出生体重児であることが多いものの、適切な処置と看護があれば、順調に発育することが可能なのです。

早産には、1.自然早産と、2.人工早産があります。自然早産は、自然に早産となってしまったものを言います。一方、人工早産のうち、合法的でないものを堕胎(だたい)といいます。これは「犯罪早産」です。また、自然早産のうち、同じ原因で3回以上、しかも多くの場合、同時期に早産するものを習慣早産といいます。

早産の原因はさまざまです。流産の原因(胎児側の原因:胞状奇胎(ほうじょうきたい)、胎盤(たいばん)や臍帯(さいたい)の異常、母体側の原因:急性伝染病、妊娠中毒症、心臓病、肺結核、腎臓病、子宮筋腫、子宮奇形、頸管無力症(けいかんむりょくしょう)、黄体ホルモン不足、そのほか、転倒や圧迫といった外部からの衝撃、強烈な下痢も流産の誘因となります。父親側の原因:精子の異常)とほぼ重なります。その他、前期破水、多胎、胎盤早期剥離が原因となることもあります。
喫煙や過労(旅行も含まれます)、性生活も早産の誘因となります。

早産の場合でも、NICU(新生児集中管理室)の保育器のなかで、適切な看護と処置が行われれば、順調に発育できるケースが増えています。

子宮内胎児死亡


子宮内で胎児が死亡することを「子宮内胎児死亡」といいます。妊娠初期と妊娠28週以降にまれに見られ、妊娠中期にはほとんどないのが特徴です。分娩時に比較的多くみられます。
流産や早産の原因は、子宮内胎児死亡の原因にもなります。

母体に原因がある場合
●母体低酸素症(心疾患、喘息)
●重症の貧血
●低血圧
●血管攣縮(子癇発作など)

子宮に原因がある場合
●過強陣痛
●子宮破裂
●子宮奇形

胎盤に原因がある場合
●胎盤機能不全(糖尿病、妊娠中毒症、過期妊娠)
●胎盤早期剥離
●前置胎盤

臍帯に原因がある場合
●臍帯脱出
●臍帯が胎児にからみついてしまった場合
●臍帯真結節
●臍帯卵膜付着

胎児に原因がある場合
●未熟児
●胎児貧血(血液型不適合、胎児間輸血症候群)
●先天性疾患

胎動がなくなり、下腹部に冷たい感じや異物感があります。それまであったつわりがぷっつりと消えてしまったり、出血を伴うおりものが続く、お腹が一向に大きくならない、などの症状がみられたら、胎児が子宮のなかで死亡している疑いがあります。

合併症(糖尿病)、胎児の発育が著しく遅くて小さい場合や、妊娠中毒症が重症の場合、妊娠42週以降の過期妊娠、などのときには、子宮内胎児死亡が起こりやすいので、まめに検査や診断を受け、用心する必要があります。厳重に管理して備えることで、胎児が死亡にいたるまえに救うことが可能な場合もあります。

診断は、妊娠7〜8週以降なら、電子スキャン超音波断層法を用いることで胎児の心拍を確かめることができます。妊娠後期には、尿や血液検査、内診やX線検査によって調べることもできます。

避妊法


妊娠を望まない場合は、避妊をすることになります。避妊法には、男性側、女性側、それぞれの方法があります。また同じ方法でも適切に行われないと避妊率にかなりの開きが出ます。

女性側の避妊法
●オギノ式
月経予定日を起点として妊娠しない期間を計算によって出す方法ですが、確実性はありません。月経が不規則な人には利用できません。

●ピル
医師に相談して使用することが必要です。黄体ホルモンと卵胞ホルモンのふたつのホルモンを組み合わせた、経口避妊薬です。卵胞ホルモンを含まない、安全性が高いピルも開発されています。
避妊効果が高い一方で、副作用もあります。悪心、嘔吐、体重の増加のほか、肝臓機能障害を起こすこともあります。また35歳以上の場合、心血管系への負担が大きいことから、用いるべきではありません。

●IUD
ポリエチレンやポリプロピレンでつくられた器具を子宮内に挿入します。産婦人科で処置をします。避妊効果は高く、数年間そのままにしておくことが可能です。

●手術
永久避妊法とされ、卵管を結んだり、切断してしまうものです。日本ではまだ一般的ではありません。本当に永久的に避妊してもいいのか、夫婦間でよく話し合うことが必要でしょう。

●ペッサリー
膣部にゴム製の器具を女性が自分自身の手で挿入します。避妊効果はかなりあります。


男性側の避妊法
●コンドーム
避妊効果は、使用方法が適切かどうかでかなり幅があります。避妊以外にも、エイズや感染症の予防に有効です。

●精管切除法
男性側の永久避妊法です。簡単には行えません。

妊婦の就労


仕事をもつ女性が増えるなか、妊産婦を保護する法律も整いつつあります。労働基準法66条には、働く妊産婦について次のように記されています。

「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、・・・(中略)・・・時間外労働をしてはならず、また休日に労働させてはならない」

1986年に制定された男女雇用機会均等法によって、従来は女性にのみ認められていた就業制限の多くが撤廃、緩和されました。これは見方を変えると、女性が、女性という理由では保護されなくなった、ということでもあります。一方、妊産婦に対しての保護は強化されています。

法律で定められた母性保護規定では、以下の点について定められています。

●業務内容の制限・・・労働基準法64条の5
●産休の規定・・・労働基準法65条の1、2
*産休は、産前6週間、産後8週間が原則として定められています。
●1日1時間の育児時間の請求。
その他、軽い労働への変更や深夜労働を避けるよう要求することもできます。

ただしこれらはいずれも自分から請求してはじめて認められるものです。

実際、厚生省は、妊婦の労働時間と流産や早産の関係について調査を行いました。それによると、家庭婦人の流産、早産の割合は、5.5パーセントであるのに対し、勤労婦人の場合は以下のようになっています。

・労働時間が8時間以下の場合・・・5.1パーセント
・9時間以上の場合・・・10.4パーセント

この結果から、1日8時間以内の労働ならば、母体や胎児への影響が、家庭婦人と差がないと判断されています。

しかし、労働とひとくちでくくってしまえるものではありませんから、無理をせず、必要ならば労働の軽減を申請するべきでしょう。

人工妊娠中絶


人工妊娠中絶とは、妊娠の経過中に人工的に子宮内の胎児や胎嚢(たいのう)を取り出すことを言います。
医学の発達により、最近ではかなり安全に行えるようになりましたが、母体にとって決して好ましいことではありません。手術の後遺症による体調不良や、以後の妊娠において流産や子宮外妊娠になりやすくなる、細菌感染によって子宮内膜炎や卵管炎になり、不妊症になるケースも少なくありません。

現在、日本においては人工妊娠中絶が認められる場合として以下の理由によるものに限っています。

1.優生学的な理由
夫婦のいずれか、および夫婦の4親等以内の近親者に遺伝的な精神疾患や身体疾患がある場合。

2.医学的な理由
本人または配偶者がらい疾患にかかっている場合。

3.身体的・経済的な理由
妊婦、出産が母体の健康を著しく害する恐れがある場合。

4.倫理的な理由
暴行や脅迫などによって妊娠した場合。

人工妊娠中絶の方法
●妊娠第6週〜11週・・・掻爬術(そうはじゅつ)または吸引法で子宮内容物を排出させる。
●妊娠第12週以降・・・人工的に陣痛を起こさせて早産を誘発させる方法。

*ただし、人工妊娠中絶が認められるのは、妊娠第22週未満までです。また、原則として本人および配偶者の同意が必要です。また、最初のお子さんを人工妊娠中絶する場合は、特に母体への影響が大きいため、極力避けるようにします。やむをえず受ける場合も、胎児や胎盤がまだ小さい、妊娠3ヶ月初めまでとします。そして優生保護法指定医の資格を持った医師によって手術を受けるようにしましょう。

不妊症


不妊症(ふにんしょう)というのは、通常の性生活があり、避妊をしていないにもかかわらず、なかなか妊娠しないことをいいます。どれほど妊娠しないと「不妊症」とされるかに、決まった基準があるわけではありませんが、通常、結婚2年以内に90パーセント近くが妊娠することを考えると、2年をひとつの規準として考えていいかもしれません。望んでいるにもかかわらず、2年以上妊娠しない場合は、専門医への相談をお勧めします。

不妊症の原因
男性側の原因
●性交障害
●精液異常
●精子の異常

女性側の原因
●卵巣機能の異常
●卵管の異常
●子宮の異常

統計的には、不妊の原因としては、1.卵管性不妊症、2.子宮性不妊症、3.中枢性排卵障害、4.卵巣性排卵障害、5.男性不妊症、6.黄体機能不全、7.頸管不全症、8.機能性不妊症 の順になっています。ただし、原因不明の場合もあります。

不妊症の検査
不妊症の治療を開始するに当たっては、さまざまな検査を行い、その原因をさぐります。
男性側の検査
・精液を調べ、必要ならば精巣(睾丸)の組織検査を行うこともあります。

女性側の検査
・基礎体温の測定・・・排卵の有無やホルモンの状態を調べます。
・子宮内膜の組織検査・・・卵巣の働きを推定したり、子宮内膜の異常の有無を調べます。
・子宮卵管造影法、卵管通気法、卵管通水法・・・卵管の通過性を確認します。

*そのほか、男女ともに、血液検査、尿検査によってホルモンを検査します。

主な治療法
●人工授精
●体外受精
●排卵誘発法
●間接的刺激法、直接的刺激法

DLダイエット
ルブランシー コラーゲン育成美容液
クローズ ワースト フィギュア
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